佐賀ラーメン いちげん。「ラーメン」すべてのレビュー

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2025年09月03日

スープは豚骨100%で、メインのスープに新しいスープを継ぎ足し、長い年月をかけて仕込まれた呼び戻し式。
なので熟成した豚骨特有の匂いはありますが、豚頭は使っていないため、ビッグワンや来久軒のような強い匂いはありません。
 
豚のゲンコツと水だけを羽釜で炊き上げ旨味を抽出し、ラードは使わずガラのみで乳化させる事で、
コラーゲンたっぷりの、濃厚ながらあっさりとした、骨粉の沈むまろやかクリーミーなド乳化純正豚骨スープが作り上げられています。
 
ちなみに羽釜は釜底がカーブしている分対流が起こりやすく、強火で炊いても鍋底に当たりにくい(焦げ付きにくい)ため、スープが効率的に乳化しやすく、
久留米ラーメンやムテ系のような濃度の高い豚骨スープを仕込むお店では昔から好まれています。
 
カエシは薄口醤油と塩のみのシンプルな構成で、塩分濃度は約1.9%、糖分濃度は約6.9%と、刺激の少ない優しい味わいのチューニングとなっており、
また香味油も使われていない為、マイルドながら熟成された豚骨の風味と旨味をダイレクトに感じられる味わいとなっています。
湯煎が終わった直後は油分が分離しているので、開封前に最低50回以上はシェイクして、きちんと再乳化させてから丼に注ぎましょう。
 
麺は円形の丸刃中細ストレート。九州のラーメン=切刃28番手の極細麺という先入観を持たれがちですが、実際は博多や長浜以外の地域では寧ろ中細〜中太のほうが主流で、
本品も切刃24番手程度の中細麺となっており、佐賀ラーメンではもう少し太い中太タイプを使うお店も数多くあります。
 
また博多や長浜のような低加水でもなく、中加水ながらナトリウム主体のかんすいをボーメ度低めに調節しているような食感で、低加水の極細麺とは一味違ったモチプリコリバツの弾力が生み出されています。
 
なお佐賀ラーメンは軟らか目なのも特徴的で、いちげん実店舗でも通常はヤワメの茹で加減で提供されます。
カタメ茹では麺の構造的に合わず、独特のコシを引き出せない上にスープとの絡みも悪くなるので、カタメがお好きな方もせめて指定の茹で時間内で調節しましょう。
 
付属トッピングは豚モモチャーシューの薄スライスが2枚。
昔ながらの煮豚タイプで、薄切りながらも豚モモ肉特有のモチモチとした弾力と旨味が感じられます。
 
ちなみに佐賀ラーメンは徳島ラーメンと同じく生卵のトッピングが人気で、いちげんでは卵黄が使われていますが、佐賀ラーメンの中にはテルテルのように全卵を選べるお店もあるので、そのあたりはお好みで。
 
ただ卵白は約9割が水分で出来ており、スープを薄める上に温度もぬるくなり、口当たりも匂いも変えてしまうので注意しましょう。
卵黄もスープにコクを与える反面、最初からスープの中で崩してしまうとスープ全体の味が変わってしまい、
元に戻す事もリカバリーも出来なくなるので、いちげん実店舗ではレンゲの上で卵黄を崩し、麺を絡める様に食べる事をお勧めされています。
 
また海苔をトッピングする場合は実店舗と同様に口溶けのよい有明産を選ぶとよいです。ラーメンには乗せず別添えにし、食べる際にしっかり浸してスープを吸い込ませ、ライスと一緒に食べると軽く飛びます。
 
おろしニンニクも佐賀ラーメン定番の味変アイテムです。お腹に余裕のある方はマルタイ棒ラーメンで替え玉を。
但し佐賀ラーメンでは久留米ラーメンと同じ様に中太麺が使われる上、せっかくの濃厚スープも薄めてしまう為、基本的に替え玉は提供されません。
 
いちげんは袋麺も商品化されており、佐賀ラーメンの中でも全国的にネームバリューのあるお店ですが、
佐賀ラーメン自体が初という方も、とりあえず最初は卵黄を乗せてみて、佐賀ラーメンの人気スタイルを体験する事をお勧めします。
などと言いつつ、私は佐賀ラーメンのお店では常に卵無しで頂いています(笑)。どのお店も基本的には卵有りと無しでメニューが分かれているので、乗せるか否かは好みで良いと思います。

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