元料理人で現コンサルなラヲタ

40代/男性

・仏伊中印料理の元シェフで、現在はコンサルティングに携わっています
・宅麺は主に製麺・スープ開発の参考用に利用しています
・麺の加水率やスープの甘い、塩っぱい、辛い等は主観ではなく、全て検査器により数値化した絶対値及び相対値を元にコメントしています。答え合わせのご参考に
・味覚検定チョコEASY・NORMAL・HARD全問正解(全問正解率1%)
・ラヲタ歴35年以上、春木屋・丸長・土佐っ子の味で育ち、家系直系・二郎直系・東池袋大勝軒直系は何周もしている元ガチ勢です
・プラチナ会員ですが抽選販売はクジ運悪く大抵先着販売で買っています
・店主へのリスペクトと、同じ飲食に携わる者として、プロの作った作品に点数など付けられないという理由で、星は基本的に全部5にしています

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2025年08月06日

スープは臭みのない豚骨醤油で、カエシの味からは二郎インスパイアを意識したカネシ緑ラベルの存在を感じますが、塩分濃度は約2.3%、Brix値は約11.1%とインスパ系の枠内では比較的やや薄口で、上品かつあっさりまろやかなあまうま味となっています。
画像で分かる通りの微乳化タイプですが、食べ進むにつれ麺のデンプンがスープに回り、乳化が進むと共にまろみが増してゆき、最終的にはクリーミーな乳化状態となります。
 
別パックのカラメを追加すると、そこに塩味のキレが生まれ、甘味旨味もより濃くなり、全部足すと完飲困難なレベルのインスパ系らしい強烈な濃口となります。
ちなみに二郎系の「カラメ」はヤサイの上からかけるのが一般的な使い方なので、モヤシとキャベツはたっぷりと用意しておきましょう。
 
麺は角刃極太平打縮れ麺。オーション配合の色合いとグルテン性を感じる直系っぽいプリモチの弾力性ですが、伸びにくさも持ち合わせており、加水率もボーメ度も二郎インスパ系の中では独自色のある配合になっていると思います。
またピロピロとした規則的な強い縮れ方も特徴的で、噛む場所による食感の違いもアクセントになっています。
 
付属トッピングは個別パックの刻みニンニク、味付アブラ、そしてInスープで極厚サイズのブタが2枚。
ホロギュチのウデ肉とブリブリのバラロールが1枚ずつで、どちらも筋繊維に適度な反発力があり、角煮のような軟らかフワトロタイプではありませんが、
ph調整や煮込み過ぎない事で保水と肉自体の旨味を逃しておらず、味付けも濃すぎず薄すぎずの程良い塩梅。
 
味付アブラも背脂の弾力を残してあり、スープ、麺、ブタ、アブラの全てが素材本来の旨味と食感を活かした調理法となっています。
 
5〜6年前に頂いたチヒ郎やベジ郎とは別タイプでしたが、当時のバージョンと比べたら典型的な二郎インスパのイメージに寄った印象です。
ただ個性という面では八咫烏式二郎系と同じようなアプローチに感じられ、二郎インスパ系という一般的な型にピッタリはめる事なく、独自の解釈で表現したオリジナリティの高い一杯になっていると思います。
 
なおトッピングは海苔、ネギ、ほうれん草、玉葱、ウズラなどの家系・商店系装備も合いそうですね。
ヤサイと味付背脂は別皿でアブラサラダにしたり、ブタはご飯に乗せてカラメをかけてチャーシュー丼にしたり、スープとカラメだけ使ってつけ麺にアレンジしたり、使い方次第で色々な楽しみ方が出来そうです。

17

2025年08月06日

スープはド乳化タイプの濃厚豚骨醤油。麺がスープに沈みにくいドロっともったりした粘度があり、豚骨の臭みもなく、鶏ガラのコラーゲンも相まって口当たりはねっとりとしています。
また塩分濃度は約2.7%と高く、甘味旨味もしっかり効いているものの、バランス的にはキリッとした塩味がやや勝っています。
 
麺は加水率やや低めのスクエア型角刃細ストレート。久留米系に多少寄ったイメージもありますが、博多や長浜の麺とはタイプが異なるので、
変に硬めにせず指定時間通りしっかり茹でたほうが持ち味を充分に発揮出来ると思います。
 
ただ豚骨ラーメンの麺は奥歯に残るようなギシギシのバリカタこそ正義だという方は、最短の指定時間より10〜20秒ほど早く茹で上げるのもアリかもです。
200gもの大盛りサイズなので、普通のペースで食べている内に麺がスープを吸水して、後半は程良い硬さになると思います。
 
付属トッピングはInスープで、2cm厚の分厚いバラチャーシュースライスが1枚。
ホロホロに軟らかく煮込まれた万人に好まれるタイプで、食べ応えも申し分ありません。
 
本品は宅麺で販売されているscLaboの別商品「豚骨ラーメン」の細麺アレンジですね。
ただ豚骨といっても博多や久留米のようなタイプとは一味違い、出自のちばから系やムテ系も感じさせるような味わいで、
味もそのまま飲むには塩辛さが立っているため、トッピングはネギやキクラゲ、紅生姜以外にも、ほうれん草であったり、またF系のように茹でキャベツを乗せて頂くのも合うと思います。
 
ちなみにニンニク、胡椒、唐辛子は勝ち確なので、お好きな方は必須で用意しておいたほうがよいです。
私は香川本鷹という旬の唐辛子で仕込んだ辛子高菜を終盤に加えて、福岡チックな味変を楽しみました。

14

2025年07月30日

スープは無化調の動物魚介ベース。塩分濃度は高めの約2.0%で淡口醤油ブレンドのキレがあり、馥郁とした煮干の香りが鼻孔をくすぐります。
そもそも節や動物系との旨味の組み立ても秀逸なのですが、やはりせたが屋系譜の煮干感というのが大きな特徴として表れている思います。
また少量浮かべた背脂粒の甘味も良いアクセントで、豚鶏油が旨味とパンチの後押しになっています。
なおスープ温を沸点近くまで上げると魚介の風味が飛んでしまうため、熱々にし過ぎないよう、湯煎の温度とかけ過ぎには注意しましょう。
 
麺は菅野製麺所の全粒粉入り低加水角刃細ストレート。
歯切れの良さとは異なるムチコリの弾力性で、ブランの香ばしさと舌触りがスープの煮干感と絶妙にマッチしています。
奈つやの美味しさの決め手はこの麺とスープのマッチングの妙にあると思っています。
 
付属トッピングはたまり醤油で褐色に染まった甘旨メンマ、トロトロに軟らかいバラスライス煮豚、香ばしい吊るし焼きの肩ロース焼豚、そして雲呑が2ヶ。
やや厚みのある雲呑はもち小麦を使ったトゥルントゥルンの舌触りとモッチモチの弾力で、その中には生姜の効いたジューシーな豚肉餡が詰まっています。
解凍は冷蔵で。解凍前に乱暴に扱うと皮が割れてしまい、解凍後も雲呑同士を強引に剥がそうとすると破けてしまうので、優しく丁寧に扱いましょう。
 
奈つやは味は勿論のこと、接客と雰囲気の良さも人気の所以の一つだと感じています。
ハードルの高い超人気店なので予約を取るのも大変ですが、ここは冷凍品よりも実店舗の実物を一度は頂いておく事をお勧めします。
 
あとあまり語られる事もありませんが、個人的には奈つやのメンマは全国的に見てもトップクラスの逸品だと思っています。
硬くも軟らかくもない絶妙なミディアム食感にスッキリとした甘味と旨味、深いコク。麺を待ちながらメンマを摘みつつ黒ラベルで一杯、というのが個人的な奈つやの醍醐味です笑

13

2025年07月30日

スープはクリアに澄んだ、がんこでは通称「上品」と呼ばれる動物魚介の塩清湯。背黒と烏賊の煮干に昆布の濃い旨味が独特で、
塩分濃度は約2.7%と一般的なラーメンに比べて非常に高く、がんこらしいキリッとした強い塩味となっています。
 
がんこ系が初めての方はこの塩辛さに驚かれるかもしれませんが、このしょっぱいスープこそがんこ系の特長で、東京のニッチなラヲタ界隈では昔からカルト的な人気を博してきたのですが、
濁った牛骨ベースにカエシを加え更に塩辛くした「下品」と呼ばれる濃厚ショッパースープや、下品を上回る「悪魔」という超々ショッパーなラーメン限定の金曜日は、家元から一見ぽいお客さんに「今日は悪魔だから物凄くしょっぱいよ」と注意喚起されているシーンを西早稲田時代の店内で何度か見てきました。
 
麺はサッポロめんフーズの黄色味が強い角刃中細ストレート。
がんこをイメージしたボキボキのカタメ食感に仕上げるなら、茹で時間は指定よりも短い50秒程度でもよいかもです。
 
付属トッピングは紫蘇油、豚肩ロースチャーシュースライス2枚、魚介風味のコリコリメンマ。
紫蘇油はスープの塩味に負けないパンチがあり、青紫蘇の爽やかな香りがスープに清涼感を与えてくれます。
この紫蘇油はいきなり加えず、最初はスープを素の状態で味わい、途中から味変で量を調節しながら足してゆくとよいです。
 
現在の四谷実店舗では紫蘇塩を頂いた事はなく、しそ塩は町屋にあったがんこ八代目で頂いた事がありますが、本品は八代目のしそ塩とはまた別の味わいで、
宅麺CK製というのも関係しているのかがんこにしては出汁感の弱さが気になったものの、ショッパーな塩味はちゃんとがんこでした。
 
ちなみにご勇退されたがんこ創業者の一条家元は東京のラーメン界では大勝軒の山岸マスター、二郎の山田総帥と並ぶ昭和のカリスマで、私も30年くらい昔は牛骨がぶら下がった黒テントへ集団催眠のように吸い込まれてゆく客の一人でした笑

20

2025年07月30日

スープは黒さつま鶏、みやざき地頭鶏といった銘柄鶏のガラと丸鶏をベースに、いりこや羅臼昆布などの魚介を合わせた無化調淡麗醤油清湯。
塩分濃度は約1.8%ですが、塩味の強さは感じさせず、生揚げ醤油のキレと再仕込醤油のコクと甘味、嫌味のない爽やかな酸味などが出汁の旨味と重なり、繊細かつ厚みある澄んだ味わいを作り上げています。
 
麺はスクエア型角刃細ストレート。はるゆたか、春よ恋、きたほなみ、さぬきの夢といった高級国産小麦をブレンドした自家製麺で、
豊かな香りと優しい甘味、シルキーな麺肌としなやかなアシの長さ、プリコリからモチフワに変化する独特の食感が特徴的です。
 
付属トッピングは茎と穂先の繋がったミディアム食感のメンマと、チャーシューはスチコンで中温蒸しした豚バラロールスライスに、香ばしく吊るし焼きした豚外モモ厚スライスが1枚ずつ。
いずれも素材を活かす淡い味付けで、スープに脂身が溶け出すことで味変の役割も果たしてくれます。
 
クリアで深みある琥珀色をしたスープは表面に芳醇な香りの鶏油がキラキラと輝き、味も見た目も非常に美しい、まさに美術品のような一杯となっています。
ラヲタなら誰もが知っている超名店なので、淡麗系がお好きな方なら外せないチョイスになると思います。

12

2025年07月30日

スープは帆立と滋賀県産淡海地鶏をふんだんに使用した鶏豚魚介。
塩分濃度は約1.9%とやや高めながらも、動物出汁の濃厚な旨味、帆立と白醤油のコクのある甘味が調和する事で、塩味の強さは感じさせず、
むしろ適度に乳化したまろやかな口当たりながら、味わいは非常にあっさりとしています。
 
スープの表面には黄金色の帆立鶏油と和歌山産ぶどう山椒の山椒油が気高く香り、僅かな痺れがスッキリとした清涼感も与えてくれます。
また帆立鶏油に加えられた帆立干し貝柱のほぐし身もスープに沈んでおり、これもひとつの具材として成り立っています。
残すのは勿体ないので、スープ完飲は出来なくとも、帆立の身だけはレンゲで掬って頂きましょう。
 
麺は自家製で平打気味のワイド型角刃細ストレート。
麺肌の微細な凹凸がスープを持ち上げ、コシの強いモチムチ食感と熟成感のある旨味があっさりコクまろなスープとマッチしています。
 
ちなみに小麦粉は純麦と同じ「せときらら」という品種が使われていますが、こちらはアミロース含有が低めなため粘性がやや高く、しっかりとしたグルテン形成が特長で、
平打麺に瑞々しい甘みと滑らかな麺肌、モチモチの弾力、伸び知らずの強いコシを生み出しています。
 
付属トッピングはやや甘口で歯応えの強いゴリシャキ食感の座布団メンマが2枚と、豚肩ロースを低温調理し表面を香ばしく炭火焼きしたモッチリ軟らかジューシーなレアチャーシューが2枚。
 
ガラ、海産物、小麦粉、調味料といった各食材が西日本産を中心に構成されており、独創性もピカイチ。スープ、麺、トッピングの全てにおいて斬新かつ統一感のある一杯となっています。

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